ごあいさつ

第131回通常組合会 理事長挨拶

令和3年7月31日

議員の皆様には、このコロナ禍の中、また厳しい猛暑の中、第131回通常組合会・第103回通常総代会にご出席いただき、ありがとうございます。
今年も梅雨の季節に、大変な集中豪雨が全国各地で発生し、熱海市の土砂崩れをはじめ甚大な被害をもたらしました。秋田県でも局地的な集中豪雨に見舞われ、由利本荘市の浸水や土砂崩れの発生など、被害が出ております。毎年発生する異常気象が通例化し、地球温暖化の影響をひしひしと感じざるを得ず、国家間の対立を超えたグローバルな立場から、CO2削減、再生エネルギーへの転換など様々な対策を早急に一体的に進めていただくことを願うばかりです。
さて、申し上げるまでもなく昨年度は新型コロナにあけ、コロナに暮れた1年間でした。秋田の患者発生数は全国に比べれば少なかったのですが(延べ997人2021/7/27現在)、病院や社会福祉施設でのクラスターの発生、秋田県医師国保が担当予定であった全医連全国大会の中止や、オリンピック開催の1年延期、さらには県人口94万人に減少など、予防・治療対策のみならず多くの社会経済活動も大きな影響を受けた年でした。
この国内でのコロナ感染者では、一時は感染者数が減少する時期もありましたが、繰り返し感染拡大の波が押し寄せ、現在デルタ変異株による第5波が大都市中心に猛威を振るい、全国的な拡大傾向にあります。収束の兆候は見えず、収束までの道のりは未だ全く予測できません。
世界の医療や経済、社会は大きな打撃を受け、日本の救急医療や大規模感染症への国の対応システムの不十分さや、医療崩壊も危惧され、一般病院や開業医においても外来・入院患者数が急減しました。
一般患者数は、昨年5月は約2割減、その後は約1割減であり、診療科によっては、ほぼ半減し、その後も1~3割減の状態が続いています。厚労省によれば全体の収入は概算でマイナス4.1%、2020年度全体で1兆円減少し、過去最大の減少幅になるとみられています。
一方、当組合の収支ではコロナ患者や超高額レセプトが少なかったことから、令和2年度の保険給付費は13.1%の減、歳出合計でも8.4%の減でしたが、収支差額は約5億6千万円、繰越金を差し引いた単年度実質収支でも1億8千万円の黒字になりました。
これは勿論コロナの打撃を受けた組合員にとっては単純に喜ぶべき状況ではありませんが、当組合としてはここ数年来、超高額医療費によって厳しい財政状態を強いられ、組合員の皆様に大変なご負担ご難儀をかけてきたという点と比べれば、一時的にせよ多少の余裕ができたという状態です。
しかしながら、それはそれとして、現在コロナ以外にも医師国保組合を取り巻く課題は少なくなく、安閑としてはいられない状態です。本日は折角の機会でありますので、その中から、医師国保組合への加入者減少と超高額医療費問題について若干述べたいと思います。
この二つの課題は、私も委員として参画しております全医連国保問題検討委員会への全医連会長諮問事項にもなっているもので、今後の医師国保組合の運営に重要な影響を与える問題です。
一点目の医師国保組合の加入者減少については、平成27年度から令和元年度までの当組合の状況では、第三種組合員を除く年間平均加入者数が平成27年度では1,965人が、令和元年度では1,727人となり、4年間で238人の減少、年間平均減少率3.0%であり、全医連全体の状況では平成27年度の308,893人が令和元年度では288,138人であり、20,755人の減少、年間平均減少率1.7%と比較し、約2倍の減少率となっております。
その中で保険料の主要な負担者である第一種組合員の先生方については、平成27年度491人が令和元年度は468人となり、4年間で23人で年間平均減少率1.2%となり、年間平均5.7人の減少です。また第一種組合員の先生方につきましては、今後いわゆる団塊の世代が後期高齢者医療制度へ移行することとなりますので、減少者が増える可能性が懸念されます。
二点目は、超高額医療費の問題です。最近の全協の高額医療費の実態を見ると、この10年間で一件1,000万円以上の高額レセプトが4.9倍になっており、令和2年度における高額医療費上位5位は白血病や悪性リンパ腫などで占められ、金額も、それまでの1件あたり2,000万円台から3,000万円台に跳ね上がっています
全国47医師国保組合における令和2年4月から11月の8か月間での1件500万円以上の高額医療費事例の調査でも500万円以上が96件あり、そのうち1千万円以上が13件もありました。
昨今の高額薬剤の急激な保険適用の実態から予測すると、突然発生する高額レセプトは、年間1件とは限りません。年間に複数、合計数千万円になる高額医療費が発生する可能性があり、財政規模が脆弱な小規模医師国保組合は、経営悪化や破綻に直結します。そのため、高額医療費対策として、これまで全協高額医療費共同事業と各組合が有する積立金で対応してきたところですが、今後は小規模な保険者には負担困難な状況が生ずると考えられることから、全医連をはじめ、全協や国においても現行の高額医療費共同事業のみでは心許ないという認識のもと、いくつかの案が検討されております。
少し長くなりますが、参考までにこれまで出てきたいくつかの案の主なものについて申し上げてみます。
① 全医連内部に基金をつくり、活用財源とする案
全医連独自に基金を作り、高額医療費が発生した組合員に交付する制度がつくれないかを協議・検討しましたが、そのためには保険料負担(掛け捨てになる金額)が大きいということや、このままでは保険業法に抵触する、国よりこの共同事業に補助金が出されている状況では問題がある等の指摘があり、実現は困難なようです。
② 全協内に民間保険を導入する案
全医連が全協内で民間保険会社と契約して、全協の高額医療費共同事業で補えない部分を補填する再保険化制度を構築できないかについて検討したところでしたが、「公的保険の中に民間保険」を導入することへの慎重論があり、全協主体事業として検討すべきとなりました。全協の制度研究検討委員会で再保険化構想として検討に着手したところでしたが、現在新型コロナウイルス感染症のため、検討が進んでいない状況にあります。
③ 全協高額医療費共同事業に対する新たな国庫補助の実施
国においては、令和3年度からこれまでの1件100万円を超える高額医療費に加え、400万円を超える医療費に充てる拠出金部分に対して、新たに補助金を付加することとしました。これは厚生労働省としても、高額医療費が国保組合の経営に与える影響について重視しているものと評価できるものですが、補助金に充てる予算総額が1億5千万円程度であり、その効果について懸念を感じざるを得ません。今後補助金増額を期待したいところですが、国庫補助の廃止の意見が出されている中では、増額は厳しいのではないかと考えられます。
④組合の統廃合や医療内容による差別化の検討
高額医療を提供し続けながら国民皆保険制度を維持するには、組合の統廃合や医療の差別化(医療内容によって保険給付するか否かを選定する)という意見もありますが、国民皆保険制度を堅持していくためには困難と考えられています。
⑤薬価算定の仕組みを根本的に見直す
新薬創出等加算の適用条件の厳格化や、効能追加等により市場規模が拡大した医薬品とその類似薬の薬価を年4回の新薬収載等の機会を活用して継続的に見直し適切な薬価設定を行い、薬価が高止まりしない仕組みが導入されています。日本医師会はこれをさらに推し進め、高額薬剤にも対応しようとしていますが、どこまで有効かは明らかでありません。ちなみにオプジーボについては、2014年は73万円であったものが2021年8月より15.5万円まで引き下がったような例はあります。
加えて、この問題については、全協のほか、日本医師会との一層の連携を図る必要があり、それにより国への積極的な働きかけにつなげていく事が重要であると思います。日本医師会はこれまでも、超高額医療費の問題に関連し、全医連内に基金を設けることや、薬価算定の仕組みの根本的な見直しについて意見を述べられているほか、高額医療費問題の解決に向けて、更なる新しい取り組みを検討することも必要だとの見解を示していることから、引き続き全医連として、日本医師会との連携を図るとともに、協議を継続していく必要があると考えます。
全医連でも国保問題検討委員会内に、「高額医療費問題への対応プロジェクト委員会」を設置し、協議を重ねておりますが、高額医療費が国民皆保険制度の瓦解につながらないようにするための新たな対応策については、未だ具体策の構築まで至っておらず、今後も検討を重ねる必要があると思われます。
以上、医師国保を取り巻く課題について、現在の状況を全医連関連中心に申し上げたところですが、最後に一点たいへん残念なご報告ですが申し上げます。
平成29年10月より全医連会長の要職を務めておられました宮城信雄沖縄県医師国保組合理事長が、去る7月12日に急逝されました。宮城先生は、生前「47都道府県の全ての医師国保組合が一つも解散することなく、医療関係者で組織する国民健康保険組合として継続する」ことを強く望まれておりました。一昨年6月には、秋田市で開催されました東北北海道ブロック医師国保組合定例協議会にも出席され、ご挨拶や協議案件についてご意見をいただいたところでした。
誠に痛恨の極みでありますが、先生のご遺志を継承し、これらの問題に取り組んでいきたいと考えております。
本日は、この後、組合会・総代会とも令和2年度決算認定を中心にご協議いただく予定です。詳細は、担当理事からご説明いたしますが、議員の先生方には、忌憚のないご意見と適切なご決定を賜りますようお願い申し上げ、開会の挨拶といたします。

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