ご挨拶
理事長 福島 幸隆
第137回通常組合会 理事長挨拶
令和6年7月27日
本日は大変蒸し暑い中、また大雨の影響で交通事情の悪い中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
今年の元日能登半島地震が発生し、翌2日には、羽田空港で、日航機と海上保安庁の航空機の衝突事故が起きました。今年も多事多難な1年になるのかと心配しておりましたが、4月20日潜水艦を探知する訓練中に哨戒ヘリコプター2機が衝突し、8人が殉職された事故がありました。国防の最前線に立つ貴重な人材が失われたことは、痛恨の極みであります。
さて、昨年7月14日からの県内記録的大雨は、県内に多大な被害をもたらしました。今年も7月6日より10日まで続いた大雨で、大仙市、秋田市、由利本荘市、美郷町の4市町で民家17棟が床下浸水の被害に遭ったとのことです。7月25日には由利本荘、湯沢雄勝両地域を中心に記録的大雨となり、9市町村に災害救助法の適用が決定されました。また、25日夜からは県北部で大雨となり、26日新たに上小阿仁村に災害救助法が適用となりました。これまでの雨で住宅116棟の浸水被害が確認されたとのことです。このように、今年も7月は大雨となり、昨年の被害の事を改めて思い起こした方も多かったことと思います。各地で昨年の浸水被害を受けて、様々の防水対策工事が行われているようです。秋田市でも内水氾濫の対策を強化した制度が創設されましたが、治水事業期間は2032年度までかかるとのことで、この梅雨の時期の大雨に関しては、今後も気のもめる時期を過ごさなければならないようです。
本日の組合会は令和5年度決算認定を中心にご審議をいただく予定となっております。令和5年度の決算は、第一種組合員の所得割保険料率が3.0%から2.6%まで引き下げられ、後期高齢者支援金分保険料及び介護分保険料の値上げが反映された2年目の決算であります。詳細はこの後、櫻庭常務理事から説明させて頂きますが、令和5年度の歳入歳出決算において単年度収支で1億1,381万5千円の黒字となり、決算残額は7億7,013万5千円を計上し、収支は引き続き安定しております。議案書の87ページをご覧ください。下から4行目に歳入歳出残額が記載されております。令和元年度は4億2,599万8千円、2年度は5億6,502万8千円、3年度は5億3,308万4千円、4年度は6億5,632万円となっています。令和元年度は歳出歳入残額から41,309,952円を給付費等支払準備金に充てたため、繰越金が3億8,468万7千円となっており、令和3年度は単年度実質収支が3,194万4千円の赤字となっておりますが、この年度の歳出には給付費等支払準備金への積み増し分1億7,000万円が含まれています。このように、毎年約1億円が歳入歳出残額に上積みされている状況です。
当組合では平成22年度から29年度まで超高額医療費レセプトが発生し、その間保険料は平成23年度から平成29年度まで6回引き上げており、特に平成27年度は2度引上げを実施しております。組合員皆様の暖かいご理解のもと、保険料の引き上げが認められたために繰越金からなる保険料補填財源は増加し、令和4年度の決算では当組合の1人当たりの保有額は343,925円となり全国1位でした。保険料補填財源を平成27年度と比較すると当県は2,179%となりますが、鹿児島県に次いで2位となっています。しかし、医療保険料は令和4年度決算では1人当たり274,706円で全国1位であり、2位の佐賀県の229,768円に比べ44,938円多くなっています。令和4年度から第一種組合員の所得割保険料率が3.0%から2.6%まで引き下げられましたが、依然として保険料は全国一のままです。私としてはいつまでも保険料が全国一であることは、好ましいことではないと考えています。保険料と保険料補填財源が共に全国一という状況を踏まえ、更なる保険料の引き下げを検討すべき段階に入ってきたのではないかと考えております。保険料引き下げに関しては、以前医師国保問題検討委員会で協議した際には、保険料を引き下げた後に、再度超高額医療費レセプトが発生した場合、また保険料引き上げを組合員にお願いするのは執行部に対して不信感を抱かせかねない等のご意見をいただきました。こうした中、今年5月に超高額医療費に迫る973万円のレセプトが1件発生しました。今後どのような経過をたどるのか予断を許しませんが、今年は医師国保問題検討委員会を開催し、保険料の在り方等について協議していただきたいと考えております。
次に、「所得の高い国保組合」に対する定率国庫補助の削減・廃止についてであります。国庫補助率は従来32.0%であったものが、平成28年度から令和2年度にかけて、13.0%まで削減されました。その後も政府の所得の高い国保組合に対する定率国庫補助廃止を検討する方針が示され、全医連や全協を通じて再三要望書等を政府要人に送付しておりましたが、聞き入れられず今年度から平成9年9月以降に加入した特定被保険者のうち、前期高齢者の国庫補助率が削減されることとなりました。特定被保険者の前期高齢者に係る療養給付費の一部に対する国庫補助率については、現行13.0%でしたが令和6年度は6.5%、令和7年度には0%に引き下げられます。当組合に関しては、令和6年度の影響額は30万5千円程度の減額となると試算されています。今回は対象者が限られたため、補助金減額は大きくないものの、令和2年度からまだ日の浅いうちに再度定率国庫補助の削減・廃止が実施されたのは大きな衝撃です。高齢者重視の社会保障から全世代型社会保障に舵を切った今となっては、いくら陳情を繰り返しても、通常の被保険者の定率国庫補助についても削減・廃止の流れは止められないと思われます。この点に関しても、今のうちから方策を練っておかなければならないと考えます。
最後に、医師国保組合が抱える問題の一つに勤労者皆保険というものがあります。これは、令和元年に自民党「人生100年時代戦略本部とりまとめ」に起源を有する勤労者社会保険として登場しました。この考え方は、企業で働く人が雇用形態を問わず社会保険に加入できるようにするということです。実質的には被用者保険の適応拡大ということです。今年中に、企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消、週所定労働時間20時間未満労働者や5人未満個人事業所への被用者保険の適応拡大が検討されることになっているとのことです。このことが厳格に推し進められた場合、一定の勤労所得を有する国保組合や市町村国保の被保険者が被用者保険に移ることとなり、それでなくても被保険者が減少しているのに、制度上のことで更に被保険者が減少することになり、国保組合や市町村国保は運営基盤を失い解散を余儀なくされる可能性も否定できません。
以上、当医師国保組合の運営に関して、そして医師国保組合を取り巻く現状について、3点に絞ってお話しさせていただきました。これらを一遍に解決できる妙案はなく、出来るところから身の丈に合った対策を講じていくしかないと腹をくくっております。今後とも、執行部一丸となって医師国保組合の順調な運営のために尽力して参りますので、引き続き皆様のご支援ご鞭撻をお願い申し上げて、理事長挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。